今夏は、娘(中2)とロンドンに出かけました。
ロンドンでは舞台をいくつか観ましたので、鑑賞録をブログに残しておきたいと思います。
思い出の一つ目としてまず書くのは、英国ロイヤル・バレエ(The Royal Ballet)です。
滞在中ミュージカルを含む計5本の作品に足を延ばしたのですが、
私にとっても娘にとっても、感動したランキング1位もしくは2位なのが、このバレエでした。
2026年7月は東京とロンドンでロイヤル・バレエを2度味わう
今回のロンドン滞在は、バレエに合わせたわけではなかったのです。
しかしラッキーなことに滞在中に『Marianela – Timeless』という公演(2026年7月29日~8月2日)がありました。
この公演はHPの説明によると、Royal Balletのプリンシパル、Marianela Nuñez(マリアネラ・ヌニェス)の長年の功績を称えたガラ形式の舞台。
以前の記事でも書いた通り、バレエに詳しくない私はマリアネラを知らない不届き者だったのですが、バレエを長く習っていた娘は、本で見て以前から彼女のことを知っていたそうです。
マリアネラは今年で44歳、鍛えられた身体と美貌を兼ね備え第一線で長く活躍されています。
ロンドン前に予習として、マリアネラの出演作を映像で見られないかなーと思っていたら、偶然にも7月上旬にRoyal Balletが日本公演をすると知りました。
しかもマリアネラ主演の「ジゼル」が渋谷のNHKホールである!!
とのことで観に行きました。↓この時の感想記事はこちら
つまり、
ロンドンでのマリアネラ公演(7月下旬)のチケットを取った
→ せっかくならその前に日本公演(7月上旬)も観よう
という順番でした。
でも日本から英国へと、マリアネラの追っかけみたいですね。
1か月のうちにRoyal Balletのプリンシパルを東京とロンドンの両方で観ることができるなんて、かなり贅沢なことでした。
滅多に行けないので頑張って良席を抑えました
私たちのロンドン旅行日程の都合から、バレエを観れるチャンスは公演初日の7月29日のみ。
そして、何度も来ることができない場所だから、少し高額でも良席で観たいと思いました。
そのため、わざわざRoyal Ballet and Operaの公式友の会のような有料会員制度「Friends」のメンバーになって、一般発売より1日早く予約できる状態にしました。
3月4日の日本時間18時から販売開始だったので10分前にはPCの前で待機。
発売と同時に購入に進みました。
席については事前にChatGPTにも相談して、狙うべき場所を絞っておきました。
結果的に取ったのはこちら。
・Stalls(1階席)
・K列(前から11列目)
・Seat 18・19(中央付近の2席)
・1席180ポンド。日本円で約3万5,000円。
Chat GPTにアドバイスもらった通り、とても見やすい席で良かったです。
ただ、日本でもそうですが、前の席に高身長の方が座るとすべてが残念になってしまうので、そこは運ですね。
お値段はもちろん高いんですけど、今回に限っていえば、同じロンドンで観た人気ミュージカルの良席と比べるとRoyal Balletの価格設定はお得に感じました。
ロンドンはミュージカルも、良い席だとしっかり高いです。
またバレエもミュージカルも席によって細かく値段が違います。
1列違うだけでも違うし、センターかサイドかによっても違う。
日本では「この範囲はS席」と比較的大きなくくりで同一料金になっている公演も多いですが、
私はロンドンのように細かく値段の差をつける方が納得がいくなと思いました。
Royal Opera Houseという劇場
Royal Balletが公演を行う本拠地は、コベントガーデンにあるRoyal Opera House。
建物の一部はチケットがない方も自由に入れるようになっていました。
冷房も効きソファもあるので、近くを通りかかった際は立ち寄っても良いかもしれません。
大きなガラスが使われた開放的な空間。

英国らしい赤を基調とした絨毯と客席へ向かう大階段。

そして、劇場内は赤と金の華やかな客席と重厚な装飾。

座席シートの赤い布地に、席番号が金色で刺繍してあります。
歴史ある劇場でありながら、古いだけではなく、新しい空間とうまく融合しているのが印象的でした。
娘は「ずっと本のなかの写真で見てきた劇場と本当に同じ」と感動していました。
客席も、ロンドンでいくつか観たミュージカルとは少し雰囲気が違いました。
観光客中心というより、現地在住の方が多いような印象を受けました。
一方で日本語も意外と聞こえました。今回訪れたミュージカルの会場よりも聞こえたかも。
この日はRoyal Balletの日本人プリンシパル、金子扶生さん、高田茜さんもご出演の日だったので、それを楽しみにしていた方もいたのかもしれません。
そして開演。ダンサーの身体能力にびっくり
公演が始まって、まず驚いたのがダンサーの身体能力。
バレエって、こんなにアクロバティックだったっけ?と思いました。
女性ダンサーが男性に向かって駆け寄る。
その勢いのまま一気に宙へ。
次の瞬間には身体が反転して逆さまになり、そのまま滑らかに次の動きへ。
静から動への切り替えがものすごく速い。
しかも、「今から持ち上げますよ」という準備がほとんど見えません。
駆け寄る
→跳ぶ
→持ち上げる
→反転する
→降りる
→そのまま次の動きへ。
これが全部、一つの動きに見える。
驚いたのは技そのもの以上に、動きと動きの「つなぎ」が見えないことでした。
かなり大変なことをしているはずなのに、何の苦もなくやっているように見えます。
私は日本でここまでダイナミックな動きが連続する舞台を見た経験がありませんでした。
もちろん、日本と英国のダンサーの違いというより、今回がトップダンサーを集めた特別プログラムで、演目自体もそうした身体能力が際立つものだった影響が大きいのでしょう。
それでも、世界トップクラスのダンサーって、こんな動きをするのか。
とかなり驚きました。
いろいろなRoyal Balletを一晩で観る
『Timeless』は一つの全幕バレエではなく、さまざまな作品を組み合わせたプログラム。
第1部はJerome Robbinsの『In the Night』。

第2部では、
『Le Corsaire』
『Infra』
『Romeo and Juliet』
『After the Rain』
『Tchaikovsky Pas de Deux』
と、まったく雰囲気の違う作品が次々と登場します。
現代的な作品を今まであまり見ることがなかった私にとっては2部は新鮮でした。

右から2人目が『Infra』を踊った高田茜さん、左から4人目が『After the rain』を踊った金子扶生さん。
日本人プリンシパルの高田茜さん、金子扶生さんもご出演されていました。
日本人の方がこんなに活躍されているのは本当にうれしいですね。
最後の『Marguerite and Armand』に完全に引き込まれる
そして第3部。
Frederick Ashton振付の『Marguerite and Armand(マルグリットとアルマン)』。
原作はデュマ・フィスの小説『椿姫』。
ヴェルディの有名なオペラ『椿姫(ラ・トラヴィアータ)』と同じ原作です。
私は以前、オペラの『椿姫』も観たことがありますが、当然ながら音楽はまったく別物。
こちらのバレエではリストの音楽が使われています。
マルグリットはこの公演の主役 Marianela Nuñez(マリアネラ・ヌニェス)。
アルマンはWilliam Bracewell。
高級娼婦マルグリットと青年アルマンが恋に落ちますが、アルマンの父親から別れるよう求められ、マルグリットは彼の将来のために身を引きます。
事情を知らないアルマンは裏切られたと思い込み、二人は引き裂かれてしまいます。
そして病に侵されたマルグリットは・・・とラストに向かうのですが。
これが、本当に素晴らしかった。

舞台セットはとてもシンプル。
でも、それが逆に演者の表現力の高さを引き立てていたように思います。
そして印象に残ったのが音。
リストの甘美な音楽の中に、マルグリットの咳や病魔を感じさせる音が入り込んでくる。
彼女の死が近づいていることが、セリフがなくても伝わってきます。
音楽も、咳の音も、すべてが必要不可欠でありながら過剰ではない。
絶妙なバランスだったと思います。
第2部まで私は、ダンサーの身体能力や技術にもかなり目が奪われていました。
ところが『Marguerite and Armand』が始まると、それを忘れました。
全てが「ドラマ」だったんです。

二人が出会い、惹かれ合い、幸せになり、そして引き裂かれていく。
表情。身体の向き。手の動き。微妙な二人の視線。
マリアネラはじめ円熟した出演者たちが作り上げた「ドラマ」で、踊りはあくまでもそのドラマを支える一部だったような気がしました。
気がついたら完全に物語の中に、私を含む観客が入り込んでしまっていて
「え? もう終わり?」と思ったほど。
娘もかなり魅せられており、終演後は「これは観に来て本当に良かったねー」と二人で何度も言い合いました。
22時を過ぎ終演、余韻冷めやらぬ帰り道
この日の公演は休憩を含めて3時間近く。終演は22時過ぎでした。
ちなみに終演後、ショップはすでに閉店。
私は開演前にグッズを買っていたのでよかった!
「帰りに買えばいいや」と思っていたら、買えないところでした。

Royal Opera Houseがあるコベントガーデン周辺は飲食店なども多く、終演後もまだ人通りがあり、治安的に危険な感じはありません。

そしてこの日はちょうど満月で、夜空を明るく照らしていました。
公演の感想を言いながら娘とホテルまで戻る。
その道すがらでさえ、絵になった夜でした。
海外の舞台チケットも自分で取れる時代
むかーしの思い出話をしますと。
私が若かりし頃、海外旅行をしていた2000年代は、海外のショーのチケットを日本から取るのは専門の代理店に取ってもらうのが一般的だったと思います。
それが今では、東京の自宅でRoyal Opera Houseの座席表を見ながら、ロンドンの発売時刻に合わせて自分で好きな席を選べる。
しかも、「この席とこの席、どっちが見やすい?」なんてChatGPTに相談までできる。
本当に便利な時代になりました。
2月から情報収集などの準備をして、3月にチケットをとり、7月に実際にRoyal Opera Houseを訪れた。
5か月前からの準備してチケットを取っておいて、本当によかったと思いました。
こういった準備も含めて「旅行」ですね。
次にロンドンへ行く機会があれば、またぜひRoyal Balletをあの劇場空間で観たいです。


