すごく久しぶりに、仕事関係のお話です。
40代半ばを過ぎると、職場で新しい役目を任される機会が増えてきます。
そんな中、私はここ数年、勤務先で初期研修医採用試験の面接官を担当するようになりました。
今回は、研修医の採用面接をする中で感じたことを書いてみます。
初期研修医の採用は、一般企業とは少し違います
まず、初期研修医の採用について簡単に説明します。
一般企業の採用試験とは仕組みが少し違うので、医学の世界になじみのない方には分かりにくいかもしれません。
医学部6年生は、大学卒業後の2年間を、どの病院のどの研修プログラムで過ごすか決める必要があります。
各病院が募集できる研修医の人数は、病院側が自由に決められるわけではありません。
厚生労働省が都道府県ごとの募集定員の上限を設定し、その範囲内で、都道府県が各研修病院に定員を配分しています。
実際にはもっと細かな決まりがありますが、複雑になるので今回は割愛します。
医学生は希望する病院の採用試験を受けます。一方、病院側も試験結果をもとに、採用したい学生の順位を決めます。
その後、医学生側の希望順位と病院側の順位を、医師臨床研修マッチング協議会のシステムで組み合わせ、10月下旬に翌年度の研修先が決まります。
人気病院には多くの医学生が受験に来ます
私の勤務先は研修先として人気があるようで、ありがたいことに毎年多くの医学生が受験に来てくださいます。
採用試験は、午前中に医学に関する筆記試験、午後に面接という形式です。
面接では、医師、看護師、事務職員など、複数の職種で一つのチームを組み、医学部6年生の志願者一人ひとりとお話しします。
私のチームでは、毎年十数名の面接を担当しています。
「個性」や「強み」とは何だろう
実際に面接をしてみると、受験者は皆さん粒ぞろいです。
倍率の高い病院の採用試験をわざわざ受けに来ている方々なので、意欲が高く、準備もしっかりしています。
学生時代に取り組んだことや資格欄には、さまざまな実績が並んでいます。
事前に提出する志望動機書もきちんと仕上げられていますし、面接で質問しても、皆さんそつなく答えます。
そうなると、今度は全員が優秀で、きれいにそろって見えてくるのです。
面接をする側としては、
「その人らしさとは何だろう」
「この人ならではの強みはどこにあるのだろう」
と考えるようになります。
そして最終的には、ほかの人にはない経験(と逆境)や、その人自身の言葉で語られたエピソードが、強く印象に残るのだと気づきました。
自分の子どもに置き換えて考えてみる
面接をしながら、ときどき自分の子どものことを考えます。
わが子がいつか進学や就職の面接を受けるとき、「あなたの強みは何ですか」と尋ねられたら、いったい何と答えるのでしょう。
親としては、良いとされる学校に通わせること、資格を取ることや、目に見える実績を積むことに意識が向きがちです。
けれど、多くの優秀な人が集まる場では、出身校や資格だけで大きな差がつかない。
むしろ、その人が何に興味を持ち、どのように考え、どんな選択をしてきたのか。
うまくいかなかったときに、どう向き合ったのか。
そうした経験を、自分自身の言葉で語れることのほうが、その人らしさとして伝わります。
面接官の心に残ります。
わが子も、学業に限らず、何かに夢中になって取り組む経験ができるだろうか。
そもそも、心から興味を持てるものを見つけられるだろうか。
面接官を経験したことで、そんなことを考えるようになりました。
もっとも、親が「何かに情熱を持ちなさい」と言ったからといって、持てるものではありません。
親にできるのは、すぐに成績や実績につながらないことでも、本人が「面白い」「もっと知りたい」と感じたものを大切にできるよう、少し余白を残しておくことなのかもしれません。
将来の面接で話すために、特別な経験を作る必要はないと思います。
ただ、親が用意した道を歩くだけではなく、自分で何かを選び、悩み、続けた経験があること。
それが、いつかその子自身の「強み」になっていくのではないかと思っています。
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