【2026ロンドン】『オペラ座の怪人』の感想|2026年7月25日マチネ

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2026ロンドン

2026年夏のロンドン旅行記(観劇記)です。

合計5つの舞台を娘と観ましたが、二人とも感銘を受けたものベスト1位か2位と思ったのが、
『オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)』 でした。

ちなみにオペラ座の怪人と双璧と感じたのが、以前記事にしたロイヤル・バレエです、こちら↓

『オペラ座の怪人』は以前から大好きな作品、だからこその葛藤

私は20代のころ映画版(2004年制作版)を見て、
そのあとロイヤル・アルバート・ホールで上演された「25周年記念公演」(2011年公演)をDVDで見ました。

娘には小4か小5のとき、アマプラでこの「25周年記念公演」を見せました。
その魅力に娘はかなりの衝撃を受け、大好きになって繰り返し見ていました。

日本では劇団四季が比較的ご近所(神奈川県)で2024年に上演していたこともありました。
が、「あの25周年特別バージョンを知っている以上、どうしても比べてしまうから見れない」
と葛藤しながら見送っていたのでした。

今回は折角の本場ロンドン。
「25周年版を超えることはないかもしれないけど、でも二度とない機会かもしれないから見よう!」
とチケットを取りました。
ところが実際にWest Endで観てみると、私たちの考えが傲慢だったなと気づかされるのです。

つまり、ものすごく良かったんです。

映像で何度も観ている作品なのに、生の舞台にはまったく別の魅力がありました。

ちなみに本作は1986年10月初演なので、今年2026年は40年目となるとしでした。

His Majesty’s Theatreへ

会場は、ロンドンの His Majesty’s Theatre(ヒズ・マジェスティーズ・シアター)。

繁華街にあり、周囲にも劇場が多数あるので、通りは非常に混雑しています。

混雑した劇場前。Phantomの看板の下で、同じデザインのTシャツを着た娘。ちょうど6月にユニクロでコラボTシャツが販売されていたので日本で買っておいたのでした。

劇場そのものは、いかにもロンドンらしい歴史を感じる素敵な建物でした。
ただ、今回の旅行ではすでに『ハリー・ポッターと呪いの子』をPalace Theatreで観ていて、そちらの劇場もかなり趣がありました。
そのため、「歴史あるWest Endの劇場に入った!」という建物自体へ感動は薄れたかも。

それでも、日本の大きな劇場とはかなり雰囲気が違います。
客席数の割に舞台との距離が近く、思っていた以上にコンパクト。

そして、その距離感が『オペラ座の怪人』の迫力をさらに高めていました。

ストール前方中央で観劇

今回の席は、ストール(1階)の前方中央付近。
この席がとても良かったです。(Chat GPTに相談して購入しました。)

開演前、今回の席からの眺め。前から5列目の真正面でよく見えました。

何といっても圧巻だったのが、シャンデリア。

冒頭のオークションでは舞台上にあった古びたシャンデリアが、音楽とともに蘇り、客席上方へ。
そして物語が進むと、ファントムによって再び落とされる。

映像では何度も観て知っている場面なのに、生で見ると迫力がまったく違いました。

「こうやって動くんだ!落ちるんだ!」

という驚き。

特に前方のストール席だったこともあり、シャンデリアが劇場空間を大きく移動する迫力をすぐ頭上で味わえました。
前方中央席ならではの良さでした。

船、吊り橋、炎……舞台装置がとにかく素晴らしい

今回、特に印象に残ったのが舞台演出です。

クリスティーヌがファントムに導かれ、地下の隠れ家へ向かう場面。

小舟に乗って地下湖を進んでいく演出は、映像で知っていてもやはり美しい。
煙、照明、ろうそく、音楽。
それらが合わさることで、本当に地下深くの幻想的な世界へ入り込んでいくように感じられます。

吊り橋を使った場面も印象的でした。

さらに驚いたのが、火や火薬を使った演出の多さ。

銃を撃つ場面、ファントムが姿を消す場面など、音と光と煙を使った演出が次々と登場します。

今回ロンドンでは『ハリー・ポッターと呪いの子』でも思いましたが、火や閃光などを非常に効果的に使っていました。

映像作品ではCGで表現できることを、舞台上で「どうやって本物らしく見せるか」。
West Endの舞台を観ていると、そんな舞台技術そのものにも目が行きます。

俳優さんたちの「立ち位置」まで面白い

もう一つ面白かったのが、役者さんたちの動き。

例えば、ファントムから次々と手紙が届き、オペラ座の関係者たちが混乱する場面。

フィルマンとアンドレ、カルロッタ、ラウル、マダム・ジリー……。
たくさんの登場人物が舞台上にいるのですが、それぞれの立ち位置や動きが絶妙に交差してます。

誰かが話している間も、他の人物がそれぞれの反応をしている。
舞台全体が混乱しているのに、観客としては「今どこを見ればいいのか」が自然に分かります。

カメラで撮る場合、カメラワークでそれぞれの人物を切り替えたり、撮る角度を変えれば済む。
けれど舞台上で5人程度の人がいる中で、効果的な演出によって、
見ている観客の目をカメラワークのように切り替えさせる、という計算に驚きました。

劇中オペラのたびに世界が変わる

『オペラ座の怪人』では、劇中にいくつものオペラが登場します。

『ハンニバル』
『イル・ムート』
『ドン・ファンの勝利』

など。

そして劇中劇が変わるたびに、出演者の衣装、メイク、舞台美術が一新されます。

これが本当に豪華。

「さっきまでとは別の舞台を観ているのでは?」
と思うくらい雰囲気が変わります。

バレエの場面も美しく、アンサンブルを含めた舞台全体の完成度の高さを感じました。

ミュージカルというより、歌、芝居、ダンス、衣装、美術、照明、舞台機構を全部まとめて楽しむ「総合芸術」という言葉がぴったりです。

クリスティーヌは22歳のAnna Zavelson

そして今回、特に印象に残ったのがクリスティーヌ。

観劇するときにはキャストについてほとんど調べていなかったのですが、
この日のクリスティーヌは Anna Zavelson(アンナ・ザヴェルソン) さんでした。

とても初々しいクリスティーヌ。

カーテンコールでの、ラウル(左)とクリスティーヌ(右)

観ている最中から、「この人、リアルにかなり若いのでは?」と思っていました。

後から調べてみると22歳!
日系アメリカ人だそうで普段はアメリカ中心に活躍されている。
ロンドンの「オペラ座の怪人」には初めて抜擢、しかも夏季の11週間限定出演だったそうです。

物語の中のクリスティーヌも突然大役に抜擢され、ファントムの導きによって才能を開花させていく女性です。
22歳のAnnaさんには、その「これから大きな世界へ出ていく若い女性」の雰囲気が自然にある。

本当に初めて大舞台に抜擢された女の子のように見える。

役柄と本人の人生のタイミングが、うまく重なっています。

今回のファントムなら「ラウルを選ぶのも分かる」

ファントムは Dean Chisnall(ディーン・チズナル)。

歌声は素晴らしかったです。
一方で、今回のファントムは私が想像していたよりもがっしりした体格で、成熟した男性(失礼な言い方になるけれど中年?)という印象でした。

カーテンコールでのファントム。動画からのスクショで粗くてすみません。右はクリスティーヌ。

『オペラ座の怪人』は、誰がファントムを演じるかによって、物語の印象がかなり変わる作品だと思います。

観ていると、「どうしてクリスティーヌはファントムを選んであげなかったの?」
と思ってしまうファントムもいます。

でも今回は、「クリスティーヌがファントムを選ばなかったのは仕方ない」と思ってしまいました。

Annaさんの若く初々しいクリスティーヌと、成熟したファントム。
二人を並べた時に「恋愛」というよりも、「師弟」という関係性を強く感じました。

一方の最終的にクリスティーヌが結婚相手として選ぶラウル役はAshley Gilmourさん。
取り立てて強烈な印象を残すタイプではなかったものの(でもラウルってそういう役回り)、
若く、誠実で、安心できる、誰もが描く好青年ラウル像そのもの。

この3人のバランスも良かったと思います。

フィルマンとアンドレがとても面白い

そして予想以上に楽しませてくれたのが、新しいオペラ座の支配人、フィルマンとアンドレ。

Martin Ball(マーティン・ボール)とAdam Linstead(アダム・リンステッド)が演じていました。
この二人の掛け合いがとにかくコミカル。
ほかの舞台でも感じましたが、イギリスはこういう皮肉めいたコミカルなやり取りを挿入するのが得意ですね。

ファントムから無茶な要求の手紙が届き、劇場内が大混乱する中でも、この二人がいることで笑える場面になります。
かなりシリアスな物語なのに、重くなりすぎない。

今回改めて観て、この二人は作品全体のバランスを取る重要な存在なのだと思いました。

「25周年版を超えるものはない」と思っていたけれど

観る前は、「25周年記念公演を何度も観ているし、あれ以上のものはなかなかないよね」
と娘と話していました。

カーテンコール。前列左からラウル、ファントム、クリスティーヌ。

でも今回実際にHis Majesty’s Theatreで観てみると、

生の舞台は、映像とはまったく別物でした。

シャンデリアが動く。
銃声が劇場に響く。
船が目の前を進む。
ファントムが突然姿を消す。

そして、その日の俳優が、その日にしか存在しない人物を作り上げ、その日のメンバーにしかできない調和がある。

よく舞台は一期一会だと言って、何度も同じ演目に足を運ぶ方がいらっしゃいますが、
本当に二度とまったく同じものを見ることはできません。

ロンドンで観て本当に良かった

今回のロンドン旅行ではいくつもの舞台を観ましたが、『オペラ座の怪人』は間違いなく強く印象に残った作品の一つになりました。

何度も映像で観て、ストーリーも音楽も知っている作品、
それでも、生で観ると、こんなに違うのか。と思いました。

想像の遥か上をいく作品を見せられてしまった。
帰国してからも娘と「ロンドンのPhantomは本当に見れて良かったよね」と折に触れ言い合っています。

万人にとって分かりやすい作品なので「ロンドンに行くならぜひ見て欲しい」とお勧めしたい作品です!


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