吉本興業会社幹部と、芸人さんをめぐる一連の問題。
会見や報道を全て見たわけではありませんが、
「私のかつての環境に似てる!」
と思いました。
大学医局(教授)と、所属する医者の関係に似てるんです。
医局との契約書なんてありません。
医局に属している医者は、医局と契約書を結んでるわけではないんです。
ただの口約束です。
でも教授の逆鱗に触れれば「破門」というのはあり、医局の支配する一円では働けなくなります。
給与についても医局との間で取り決めはないです。でもマージンを取られることはあります。
お給料ですが、人事権を握っている教授から采配された場所(病院)で働いて報酬を得る形で、医局から直接もらうわけではありません。
でも医局から紹介された場所で働くと、マージンを取られることもあります(言葉を悪く言うとピンハネ)。
こういうのは医局の独自ルールなのでない医局もあるでしょう。
私のいた医局では、医局斡旋の非常勤バイト先の数×○万を各自毎月納めると決まっていました。それとは別に「医局費」というのも所属料的に毎年払う必要があります。
また私の医局では、学校検診に行ったの報酬は全て医局に納めるというルールでした。強制的に医局に寄付するという形です。ここだけとれば、医局対個人が10対0という完全ボランティアでした。
芸人さんの世界と似てますよね。
教授の独裁がやり過ぎなとき、救いの手が外部から出るのも一緒。
教授が明らかに独裁的なことをし、医局員が酷い目にあっているとき、大物が救いの手を出すのも同じです。
今回の吉本興業でいえば加藤さんや松本さんのような存在になるのは、医局OBで地域で顔がきく(医師会である程度の地位にいる)年配の開業医の先輩です。
芸能事務所も医局も、結局は置屋です。
医局という置屋に属していたことで、色んな大きな病院で働いたり、医局の先輩に仲間として可愛がってもらいました。医局に属さず個人でフリーで頑張るよりも、勉強になることは多かったですし、育てていただいたという思いは今もあります。
でもずっと置屋に囚われて医師人生を送るのは違うかなと。
色々考えて私は大学医局を出ていながらゆるく属し(医局費は納めてます)、治外法権的ポジションにいます。自分の性分としてはこれで良かったなと思います。
そういう決断をしたのは、医局がらみのとある医療トラブルに巻き込まれて疲労困憊していた若手の私に、同じ医局の先輩が
「医局に利用されるんじゃなくて、自分が医局を利用するんだよ!」
と喝を入れてくれたからです。
今でもその言葉をかけてくれた先輩には感謝しています。
会社側と芸人さんの間で、どの様な形で落としどころを見出すのか分かりません。しかし結局若手は置屋に頼らざるを得ない(よっぽどな天才以外)というのは、世の定石なのかもしれません。