先日福岡市のシッピングモールで21歳女性と6歳女児が刃物で襲われるという事件がありました。
6歳女児はたまたま居合わせた消防隊員の男性が犯人を取り押さえたため無事でしたが、21歳女性は複数個所を刺されて死亡されました。
犯人は少年院を出所して、更生施設から失踪した15歳の少年とのこと。
今回の犯行現場はショッピングモールで白昼。
先日こちらの本↓を読んでいたので、時間帯や人通りのあるなしで安心はできない、ということを改めて痛感しました。
こちらの本は ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科修了された小宮信夫さんという方が書かれたものです。 紹介文にはこのようになっています↓
「暗い道は危ない」「怪しい人に気をつけて」…と子どもに教えていませんか。
そうすると子どもは「明るい道」「普通の人」なら安全と思いこんでしまいます。
子どもを狙う犯罪者は、好みの子どもを見つけるために明るい道を好みます。
また、身なりも普通です。
こういう教え方では、子どもを逆に危険に近づけてしまうのです。
避けるべきは「危ない人」ではなく、犯罪が起こりやすい「危ない場所」。
危ない人かどうかは外見ではなかなかわかりませんが、危ない場所かどうかは判断する基準があります。
それは明るい暗いとは関係ありません。
つまり「不審者」とかいったあいまいな言葉で避けるのは、子どもには難しい。
子どもは怪しいなんて疑うことが難しいし、犯人も手馴れていて言葉たくみに子供の警戒心を解く方法はいくらでも編み出せている。
そういったあいまいな定義の「不審者」を避けるではなくて、確実に犯罪が起こりやすそうな「場所」を避けさせるほうが確実である、とのこと。
具体的には、誰でも入れる場所ではあるが、一部に見えにくい場所(閉ざされた)があるようなところは危ない、と言うことが書かれていました。
今回の事件で考えると・・・
今回の福岡の事件もそう。
ショッピングモールという誰でも入れる場所で、犯人はまず対象者を物色する。そして(今回は21歳の女性が)「トイレ」という閉ざされた空間に向かったときに付いて行って、犯行に及んでいます。
過去にもショッピングモールのトイレで…という事件はいくつもあり、決して子ども一人では行かせてよい場所ではありません。
そして今回の事件を思うと、うら若い女性の場合も、人がほとんど利用していないようなトイレには入るのは避けた方が良さそうです。
そのほか、本の中には犯罪が起こりにくい街づくり、たとえば公園の遊具とベンチの配置など、欧米ですでに取り入れられていることも紹介されています。
「環境・構造」に着目する大切さ
この本を読んで、医療安全の問題も同じだなと思いました。
医療事故は残念ながら大なり小なり起きていますが、そのミスを犯した人の不注意だけでは解決しないということが分かっています。
ミスが起きた背景、構造、システムを変えなければ、再びどこかで別の人物が同じ医療事故を起こします。
注目すべきは「人」ではなく「環境・構造」である、という点が、「医療安全」でも「防犯」でも同じだと知って驚きました。
さらに本の中には「防災」に取り組む団体からも、しばしば筆者に講演依頼があり、「環境・構造」に着目することが「防災」においても大切と今は考えられているそうです。
環境・構造を変えることの大切さ、これは意外と色んな分野で有効なんだと知りました。
身近なところでは「子育て」もそう…と思ったりしています。