1年間で一番こどもの自殺が多いのが夏休み明けだということ、ご存知の方も多いと思います。
2018年にお亡くなりになった女優の樹木希林さんもこのことを気にかけていらっしゃったと。
なんとお亡くなりになる2週間前が9月1日。ご自身も何度か危篤状態になるなか
「死なないで、ね・・・、どうか、生きてください・・・」
「今日は学校に行けない子が大勢自殺してしまう日なの」
と言われていたそうです。
そんなわけで、上記の絞り出すような切実な願いを病床で聞きかれた、娘の内田哉也子さんが書かれたこちらの本を読みました。
希林さんといえば、乳癌が全身転移するも最期は癌の積極治療を避け、「全身がんです」といいながらも10年程度お仕事を続けていらっしゃった姿が印象的です。
そして、「これは」と思う仕事なら破格の報酬でも引き受けていらっしゃったことも有名です。
亡くなる4年くらい前に不登校を支援する団体に対して、ほぼ無償の形でインタビューや公演をひきうけていらっしゃったそうです。
本では娘の内田哉也子さんが、不登校を支援する団体の方、元不登校だった子ども、不登校の子どもを持っていた親などへインタビューする形で進んでいきます。
哉也子さんがおっしゃっていたのが、“LIVE or DIE” とか”SCHOOL or DEATH” というとても極端な2択に学童期~思春期の子ども・親が陥りがちなこと。
学校でも死でもない「第3の選択肢」の存在が見過ごされがちになっているといこと。
「学校に行かなければまともになれない」という重圧は強すぎて、学校にいかなくても大人にはなれるし、仕事を持って社会で生きていける。
意外と不登校→大検などを経て→医療職(医師も含む)の方いらっしゃいますよ。資格職なのでそういう経歴でも十分就職できます。
しかしその実例が周りに少なすぎて、学校という枠組みから出てしまうことへの恐怖感が子どもも親もとても強い。
職場にも不登校の子どもを持つ同僚がいるのですが、
「2学期も学校に行きたくないなら行かなくてもいい。家にいなさい。」
と夏休み中何度も言っているそうです。(一方でその同僚は、子どもの行く末についていつも心を砕いているのですが・・・。)
学校の狭い人間関係だけで、自分のことを否定して死んでしまうのは勿体ないことだと思います。
悩む時間は無駄ではないけれど、命を落とすことだけはどうか思い留まって欲しいです。
そして大人も、学校という枠組みが死を考えるほどの重圧となっていることを忘れてはならないと思います。